日本ふるさと沈没―アンソロジー (アニメージュコミックス)

著者 :
  • 徳間書店 (2006年6月30日発売)
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本棚登録 : 147
感想 : 5

『日本沈没』のリバイバル映画化に合わせたアンソロジー集。
この作品は、実にいろいろなパロディのネタになっているんですね。
小松左京氏も公認とのことで、表紙に書かれた彼の「しかし、こんな風には沈まんっ!!!」との一文が笑えます。
オリジナルをいじられるのは、原作者冥利に尽きることなのかもしれませんが、筒井氏のパロディ短編も容認している人なので、そもそも本人が大らかで遊び心があるのでしょう。

たくさんの漫画家が、地方別の話を書いています。
紙面の関係でどれも数ページのみなので、明らかに話の途中で尻切れになっているものも。
描き足りないものは、各自コミックや別誌で出しているとのことです。

冒頭は吾妻ひでお。久しぶりに見てみると、この人の描く女性って、やっぱりかわいいですね。

所沢担当の伊藤伸平氏による、田所博士と小野寺が女性バージョンのものがおもしろかったです。
D計画とはダイエットのことだった!?
ほかに、米村孝一郎の、泉鏡花のくくり姫をベースにしたものも、雰囲気たっぷりでした。

岡山を舞台にした、鬼まで沈んでしまった後の桃太郎の乾いた憂鬱は、ワイルドの『幸福な王子』の世界のようでした。
つまりツバメがキジっていうことですね。

大勢の漫画家が、腕によりをかけて調理したものを見てわかったことは、(やっぱりオリジナルって偉大なんだなあ)ということと、(鶴田謙二氏って人気があるんだなあ)ということでした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: comic
感想投稿日 : 2011年6月13日
読了日 : 2011年6月13日
本棚登録日 : 2011年6月13日

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