美輪明宏による人生相談本。
続編とありますが、彼の著作のイメージとは少し違うようなテイストの、イラスト表紙が気になり、第1巻を読まないままにこちらを手に取ってしまいました。
彼の他著書を読んだ時には、かなり毒舌ストレートな口調に圧倒されながら、的確に的を得ている内容と、一貫して見えるゆるぎない自己アイデンティティに心惹かれましたが、この本でもその美輪節は変わらず健在。
バッサバッサと問題を切り捨てていく姿勢は、相談した当事者でなくともイタ気持ち良さを感じます。
歯に衣着せぬ物言いは、猪木のビンタよりも強烈でしみそう。
本人には無縁で、今後も一切悩む必要のないと思われる、結婚生活や姑、子供に関する悩み相談といった、人の意見を仰いでもどうしようもないようなお昼のワイドショー的な家庭の悩み相談にも、一つ一つきちんと向き合い、厳しくも快刀乱麻なアドバイスを出しているところには、本人の人の良さと面倒見のよさ、愛情の深さを感じます。
Q&A本なので、感想を言うたぐいの本ではありませんが、相談内容によって背中を押したり突き放したりするその判断は私には到底つかないため、彼のようなアドバイザーにはとてもなれっこないなと思うばかりです。
いつも毅然として、人を諌めることもいとわない彼の姿勢は、自分が貧乏だったころの心持を忘れていないからこそ、凛として見えるのでしょう。
全ての相談者に対して、きれいごとを鼻先で吹き飛ばし、人としての成熟を堂々と求める、彼のぶれない立ち位置をたのもしく思いながら読みました。
これは月刊誌『家の光』に連載されたものということで、どこぞの宗教団体誌かと身構えましたが、JA出版の農業系のものだったので、安心しました。
- 感想投稿日 : 2011年11月9日
- 読了日 : 2011年11月9日
- 本棚登録日 : 2011年11月9日
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