仏教は難しい専門用語が多くて、理解できているかどうかもあやしいのに、それを英語で説明するとなると、どうすればいいのか・・・と途方に暮れてしまうもの。
何も知らない他宗教の人に、どのように話せばよいのかを知りたくて、読みました。
「わかっていて当然」という雰囲気の中、よくわからないままにしているベーシック事項にも触れられており、噛んで聞かせるように書かれている日本語でのテキストがわかりやすく、英文よりもまず日本文の方を熟読しました。
「悟り」「涅槃」「解脱」という3つの言葉は同義語のように考えられているということなど、言われないとピンときません。
確かに全てがイコールの状態であるので、同じように使われると認識すると、クリアになります。
英語は日本語よりもはっきりしているため、「仏」と「如来」は同じ意味だということも、英語にすると自明の理のようになります。
英語で浄瑠璃世界は「Pure Lapis-Lazuli World」というと知りました。
浄瑠璃には、人形浄瑠璃のイメージがついていますが、もともとは仏教からの言葉なのです。
煩悩は「earthly passions」と訳すそうです。
「この世での情熱」ということでしょうか。これは直訳できませんね。
ちなみに年末に除夜の鐘を打つのは日本だけの風習だそうです。
釈迦の時代は、必ずしも仏教従事者の肉食は禁じられておらず、自分のために殺したという疑いのない肉は食べても良かったとのこと。
ヒンドゥー教の影響で、のちに禁止されるようになったとのことです。
Q&A方式にまとめられているのも、実際に外国人からの質問に応える際に、役立ちます。
僧侶は自身の自己実現の道を極める人、神主は超人的な神の言葉を聞き、人々に伝える役割の人と、僧侶と神主は根本的に立場が違うとわかりました。
また、神道には女神がいるのに、何故菩薩は男ばかりなのかというと、仏教の発祥地インドで、女性の地位を低く見る傾向があったのが原因かもしれないと考察されていました。
キリスト教と仏教との大きな違いは、キリスト教では絶対的な神の存在を主張し、仏教では絶対的なものの存在を認めないというところだそうです。
英語での仏教の事項の説明を目的とした本ですが、曖昧なままにとらえていた事項が、違う言葉に直されることで明解になり、日本語での仏教理解が深まるという一石二鳥の本になっています。
- 感想投稿日 : 2014年1月14日
- 読了日 : 2014年1月14日
- 本棚登録日 : 2014年1月14日
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