心が大きく揺さぶられる深く、重く、悲しく、でも温かく、優しい素晴らしい作品でした。
満州で家族と生き別れ戦争孤児となった著者の父親の半生を著書が中国留学の経験を通して、知り、感じ、中国の義理の家族との絆も深めていきます。
著書の父・城戸幹さんは日本の国としての残留孤児の帰国が始まる前、日中国交正常化前に、ものすごい苦労と困難を乗り越えて自力で両親を探し、帰国されました。
戦争によって筆舌に尽くし難い苦難があり、同時に城戸幹さんを心から大切に育ててくださった中国のお義母さん、親戚、支えてくれた友人たちがいて、その全てに心打たれます。
著書が留学中に父親がかつていた町を訪れ友人たちに会い、「文革のとき、日本人と一緒にいて、怖くなかったんですか?」と尋ねた時、「怖くなんかあるもんか。友達は友達じゃ。民族が違おうと、心は通じているんだ」と答えた父親の友人の言葉。
日本に帰国が決まり育ての義母と別れる時、別れ難くお互い泣き続けながらも「行きなさい」と言った育ての義母の言葉。
忘れられません。
そして、著書の温かく柔らかい文章が心に染み込みました。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2024年3月4日
- 読了日 : 2021年2月23日
- 本棚登録日 : 2024年3月4日
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