江戸川乱歩賞全集(11)透明な季節 時をきざむ潮 (講談社文庫)

著者 :
制作 : 日本推理作家協会 
  • 講談社 (2001年9月14日発売)
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本棚登録 : 27
感想 : 5
3

透明な季節/梶龍雄:第23回大賞受賞。1977年。
戦時中の中学生視点。ポケゴリ(あだな)少尉がやってきた。ドSな鍛錬。もちろんみんなの嫌われ者。アダナつけられるのは、何か響くものがある人々。そんなポケゴリが殺された。残された美人妻に好意をいだく中学生。成績落ちちゃう。けど、戦時中だし、ある意味幸い。
戦局が激しくなっていく、東京爆撃される。焼夷弾落ちてくる。自分に落ちなければ、わざわざ見に行く。人の不幸は自分の幸福。栄養失調になっていく人々。でも、本を読みたいとか。流行歌も、勇ましいのから抒情的なのになるとか。そして、みんないなくなる。このへんが一番心に残るんだが。
結局、ポケゴリは自殺。お世話になった上司(弟が同級生)への遺書が見つかる。美人妻は疎開。疎開するとはきいてたけど、場所は問いたださなかった中学生。
上司一家も空襲で死んでしまう。
確かに、推理小説という意味では違うような。


時をきざむ潮/藤本泉:第23回大賞受賞。1977年。
三陸の海岸で発見された双子二十代男性@車中の遺体。もう一人、遺体がいるらしい。不運な男、と作者に称される刑事がまわりの思惑を無視して、捜査を進める。そして、予定調和の最後。
レイプ輪姦絡みが見えるので、イヤな気持ちのまま、読み進める。その果てに殺してしまったんだね。そして、姉に復讐された。簡単にいえば、そんな話に土着信仰を振りかけた。
この作者は、既婚者だが書くために住む場所を変える、とか、ヨーロッパに渡って以来消息をたった、とか、篠田節子が小説にした、とか、前知識があり期待したのだが。
黒を白と言い続ける、とかね、ステキな言葉もあったけど、結局のところ、ほかの作品を読もうとは思わなかったんだわ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 江戸川乱歩賞
感想投稿日 : 2018年4月28日
読了日 : 2018年5月3日
本棚登録日 : 2018年4月28日

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