ニコニコ哲学 川上量生の胸のうち

著者 :
  • 日経BP (2014年11月14日発売)
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本棚登録 : 407
感想 : 44

インタビューひとつひとつが短いため、踏み込んだ議論はなされておらず物足りなさを感じた。ただ、川上さんの考え方や思想は強烈に感じ取れる。

建築学や都市計画学は、学問(一定の理論に基づいて体系化された知識と方法)とは言いづらいと大学時代に感じていた。本書を参考に考えると、「実社会に接している学問は、学問の定義自体があやふやだから、議論の基盤が曖昧」なため、論理を組み立てて理解する方法が適していなかったのだろう。
実際、様々な可能性を想定したうえで定義をしようとすると、収拾がつかないし、仮に定義をして論理を組み立ててみても、結論までたどり着かずに力尽きてしまったり、研究テーマとして扱おうと思った魅力的な『気づき』からは遠く離れて凡庸なものとなってしまったりする。
建築学や都市計画学が実社会に接している学問であるために、「結論なしに論理を組み立てる」ことは「間違ってしまうことのほうが多い危険なアプローチ」だったのだろう。本書では、「何らかの先入観や思い込みのない客観的な状態で、議論を組み立てる」のではなく、「目的がある立場」に立ち議論を組み立てる姿勢で向き合うアプローチを紹介している。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 文化
感想投稿日 : 2018年8月31日
読了日 : 2018年8月18日
本棚登録日 : 2018年8月31日

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