コピーライター眞木準が編纂した「プレゼンテーションとは何か」を伝えてくれる書。
現代の仕事がプレゼンを軸に回っていることから、「プレゼンテーション」とのタイトルを持つ書籍は数多くある。実際に私たちが読みたいのは、実践で即、使えるPowerpointのテクニック。しかし、それらの書籍の多くは、Powerpointの基礎的な内容に終始しているが残念だ。
そして、他人のプレゼンを見ると、どうも、小学生の頃の模造紙に書いた研究発表から一歩も出ていないように感じる。それ以上のこと、つまり、プレゼンの仕方はどこでも教わっていない。
そもそも、私たちが日常行っているプレゼンとは何なのであろうか?
そうしたモヤモヤに本書は答えてくれる。
確かに、題材に挙げられている18名のフィールドは、1件当り数千万から億単位のお金を動かすプレゼン。しかし、それだけに、真剣であり、経験則からの真実やノウハウは、金言とも取れる。
「プレゼンは知のプレゼントである」と眞木氏は説く。
そのためには、自分の意見を伝えるのではなく、相手の気持ちに立った考えを伝える、と、きわめて日本的な「心」を説く。
巻頭は、眞木氏による「プレゼン」の定義からはじまり、続けて、さまざまな広告に関連したクリエイター達が自身のプレゼンについて語る。
テクニックの問題は、ツールのヴァージョンが上がれば変わっていくものだが、ここに書かれている経験則は普遍で、誰もが、いつでも応用できるものだ。
さらに多くの実例を知りたければ、本書籍に続けて出版された『ひとつ上のアイディア』、『ひとつ上のチーム』が参考になる。
残念なことに眞木氏は2009年、突然他界された。
もうあの微笑みと、親父ギャグのようなコピーに会えないかと思うと悲しくて仕方が無い。
- 感想投稿日 : 2012年8月5日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2012年8月3日
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