毛利元就 「猛悪無道」と呼ばれた男 (Truth In History 22)

著者 :
  • 新紀元社 (2010年9月9日発売)
4.40
  • (3)
  • (1)
  • (1)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 34
感想 : 3
5

元就の一生を追うならこれ一冊でOK、と行っても良い位の良書。

毛利元就の一生と輝元の没落までを描いています(比重は元就より)。この手の本でありがちな通説を歴史と捉える事に慎重であり、一次資料から最新の研究報告までを上手く利用して真の元就像に近づこうとしています。特に吉田郡山城の戦いの通説をひっくり返す章は、一片の推理小説の様な面白さがあります(通説の演出を元就自身がしていたとも取れます)。

近年の某歴史ゲー(アルファベット使ってる方)の影響もあり、冷徹な人間と捉えられがちですが、謀略や策を用いて犠牲を避ける事に苦心していた事が良く分かります。また、そうする事で生じた犠牲者を恐れる小心な面があった様に思います。「太陽でも月でもいいから信仰しておけ」なんて、信仰心のもつ精神安定効果を客観的に捉えられる人にしか言えませんよね。

70歳前後の耄碌っぷりもきちんと描かれています(泣)。この辺りは腑に落ちない点がいくつかあったのですが、この本ですっきり。孫権の老後に近い物を感じます。

歴史ゲーで毛利元就公に興味を持った皆様、ぜひご一読下さい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 歴史
感想投稿日 : 2012年4月16日
読了日 : 2012年4月16日
本棚登録日 : 2012年4月16日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする