本書では、「臨場」と「逆行的構成」がキーワードである。
ストーリー調で語られることによって人はその物語に「臨場=まるで自分も体験したかのように」してしまう。また、供述する人は、報道や捜査機関から告げられた情報によってある程度その事件について知っており、その情報をもとに「逆行的構成」を行い、事件の前には知りえなかった、感じえなかったことまで語ってしまう。
取調べを「結果」ではなく「過程」としてみる姿勢が必要である。それによって、自白は無罪証拠になりうる。
そして、供述調書は捜査機関による完全なる「作文」であることを必ず認識していなければならない。たとえ直筆の署名があったとしても、取調べ中の空気の中で、署名を拒否することは無理だろう。
取調べには心理学を学んで臨むとおもしろいかもしれない。虚偽自白を見抜くためだけではなく、真実の自白を引き出すための追及にも使えるだろう。「法も人間の現象である限り、そこに心理学との重なりを見ないわけにはいかない(P270)」
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
刑事関連
- 感想投稿日 : 2010年10月23日
- 読了日 : 2010年10月23日
- 本棚登録日 : 2010年10月23日
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