ニコール・キッドマン演じるベッカと、アーロン・エッカート演じる夫のハウイーは息子を交通事故で失う。その喪失感のあまり時が止まり、のた打ち回りながらもありふれた日常を再び生き始めるまでを描く。
特に前半から佳境に入るあたりまで、ベッカは息子を失った現実を受け入れられず、他者の何気ない言葉や態度に過剰反応してはこれでもかというほど周りに毒づきまくる。
そんな中、息子を轢いてしまった加害者とベッカが交流を持つようになる。加害者の少年のはにかみ、所在無げな感じの演技がこれまたすばらしいのだ。
「自らの不注意から死なせてしまった」という罪悪感で加害者少年とベッカはつながり、少年が「パラレルな世界に父親が迷い込む。その世界で確実に生きている父親をうさぎの穴を辿って少年が探しに行く」という漫画を描いていることをベッカに打ち明けるまでに。この漫画がのちに、ベッカが地に足をつけて生きるための重要なツールになっている。
それによる変化の一つが、加害者少年がプロムパーティーへ向かう様子をベッカがみかけ、涙がとまらなくなる場面。これまで喪失感にとらわれているのにそんな自分をなんとか押しやろうと無理をしていたベッカが、ここで泣きつくし悲しみぬく自分と一致をみせる。そんなベッカをさらにみかけた少年が、戻ってベッカを気遣うところも心憎い。
ここでガラリと元気になりましたというわけではないのだろうけれど、今をいきられるようになるためには重要な作業なのだろうと観終わったあとも強い余韻が残る場面だった。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2017年6月8日
- 読了日 : 2017年6月7日
- 本棚登録日 : 2017年6月8日
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