スメルズライクグリーンスピリット SIDE:B (POE BACKS) (ポーバックス Be comics)

著者 :
  • ふゅーじょんぷろだくと (2013年4月24日発売)
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本棚登録 : 1105
感想 : 67
5

■笑い涙なのか切ないのかわからない涙がぽろっとこぼれる、そんな作品。ボーイズラブ漫画として扱われてるけど、主題はそれじゃないですね。こちらに伝わってくるのは、
「みんな自分が100%思うようには生きられなくて、そんな中でどこかに自分の身の置き場を作っていかなきゃいけない。ただ、それを他人に強いられた我慢や妥協だと思って生きていくのか、それとも自分の選択だと痛む胸を張って生きていくのか」。
で、この作品はどんな道であれ自分の意志で選んだ道こそが正しいんだとエールを送ってる。
■以前に「中学生くらいの頃に思い描いてた仕事に就ける人の割合が●%」ってデータを見たことを思い出しました。彼らが抱えたほど顕著で残酷ではないんだけど、でも大なり小なり私たちも同じ痛みを経験したことがあるから、この作品がじわっと沁みてきます。
正直、ゲイの人たちの悩みをリアルに再現してるわけではないだろうと思うし、作者にもそれをする意図はないと思う。むしろ、私たち女の読み手の実感と男の子への自由さの憧れ(だからこそ彼らは変化の最中にいる、中学生なんだろうね)との中間くらいに漂うくらいのリアリティになってるところが、絶妙なんだろうなー。
■母3人もいいキャラですね。夢野母の息子への接し方を見て、彼女のこれまでの生き方を推測して、ああ、だから夢野はハーフっていう設定なのか!とわかった。
主役の3人もあぶない先生も魅力的だったんだけど、主役3人の母親に心情を寄せてしまう自分に愕然ともしたのでした…(笑)。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 現代もの
感想投稿日 : 2013年6月2日
読了日 : -
本棚登録日 : 2013年6月2日

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