『裏閻魔』続編。今作は終戦直後からの10年間。前作の最後で閻魔の元を去った奈津を探し続ける閻魔。
長い間閻魔の心の拠り所であり、彼を支え続けた奈津が離れ、良き理解者であった信正まで亡くした閻魔の苦しみが痛々しい。
不老不死は人類の見果てぬ夢。その夢を手にしながら、優しすぎて脆い閻魔。そして、閻魔の押しかけ弟子の善哉もクスリに溺れボロボロ、と今回の男性陣は弱くて情けない姿を晒す。
それに比べ、女性たちの強いこと。奈津や惠子はもちろん、悪役ながら美鈴も自分の願いのために、強く逞しく生きている。
すべてを失った時、いち早く立ち直って前を向けるのは女性なのかも知れない。
次でシリーズ完結。奈津の行方と閻魔の想いはどうなるのか。夜叉との関係は。気になることも多く楽しみ。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
小説・中村ふみ
- 感想投稿日 : 2018年3月30日
- 読了日 : 2018年3月29日
- 本棚登録日 : 2018年3月22日
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