ジュリアン・バトラーの真実の生涯

著者 :
  • 河出書房新社 (2021年9月25日発売)
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本棚登録 : 527
感想 : 41
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文章というか字面が美しく、史実に忠実な部分は大変忠実で、かつストーリーテリングに富み(表現、変かな)、キャラクターの造形が素晴らしい、希有なフィクション。長さもまったく苦にならなかった。

主人公のジュリアン・バトラーは、美しく破天で、江口寿史のひばりくん以来の、魅力的な男性の女装キャラ。一方、語り部のジョージ・ジョンは名前の通り、凡庸で(と本人は思っている)、真面目、それでいて偏屈で嫉妬深い、とても人間的な人物で、その対称性が物語を転がしていく。
出てくる諸国の風景もとても美しい。
トルーマン・カポーティのオカマキャラぶりが痛快。
しかし、すべての人々が、平等に老いて醜くなり、この世から姿を消していく。 
おかしみと哀しみのバランスが絶妙だった。
私的、今年ナンバーワン候補の小説。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年3月11日
読了日 : 2022年8月1日
本棚登録日 : 2022年7月15日

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コメント 1件

b-matatabiさんのコメント
2023/03/12

「すべての人々が、平等に老いて醜くなり、この世から姿を消していく。」
確かにそうですね。でも、私は読んでいるとき、その部分をあまり意識しませんでした。

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