文章というか字面が美しく、史実に忠実な部分は大変忠実で、かつストーリーテリングに富み(表現、変かな)、キャラクターの造形が素晴らしい、希有なフィクション。長さもまったく苦にならなかった。
主人公のジュリアン・バトラーは、美しく破天で、江口寿史のひばりくん以来の、魅力的な男性の女装キャラ。一方、語り部のジョージ・ジョンは名前の通り、凡庸で(と本人は思っている)、真面目、それでいて偏屈で嫉妬深い、とても人間的な人物で、その対称性が物語を転がしていく。
出てくる諸国の風景もとても美しい。
トルーマン・カポーティのオカマキャラぶりが痛快。
しかし、すべての人々が、平等に老いて醜くなり、この世から姿を消していく。
おかしみと哀しみのバランスが絶妙だった。
私的、今年ナンバーワン候補の小説。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2023年3月11日
- 読了日 : 2022年8月1日
- 本棚登録日 : 2022年7月15日
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コメント 1件
b-matatabiさんのコメント
2023/03/12