聖骸布血盟 下巻 (ランダムハウス講談社文庫)

  • ランダムハウス講談社 (2005年9月15日発売)
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感想 : 21
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『聖骸布血盟』という本は、歴史ミステリーとしてのジャンルで、ダン・ブラウンの『天使と悪魔』や『ダ・ヴィンチ・コード』と比較しやすい書物である。

歴史的史実を現社会で起こった事件と絡ませるスリリングな展開は、ダン・ブラウンの手法と良く似ている。

ダン・ブラウンのように文章がビジュアル化してせまってくるような迫力はないものの上巻を半分くらいまで進むと次が読みたくて、ページをめくる指がとまらないのは同じであるし、史実に基づきつつ、聖骸布を命をかけて守ってきた人々がいきいきと描かれてゆくさまは圧巻だ。

時代が次々と変化していくので、登場人物が多すぎるのが少々難だが、ダン・ブラウンに見られる暗号の謎解きなどはない。
冒頭も、らい病に罹ったエデッサの王が聖骸布によって病が癒える場面や、トリノ大聖堂の不審火あとから発見された舌のない男の遺体など、劇的主題の導入が成功している。
歴史上の人物たちもリアリティをもって描かれ、読者の好奇心を喚起する。

数奇な運命と歴史を経て、現代と謎が交差した時やがて、結末は明かされる。
トリノの聖骸布は、ダ・ヴィンチが関わっていたなどという説もあるが、さて、この小説の結末は・・・読んだ人のみぞ知る である。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2012年8月25日
読了日 : -
本棚登録日 : 2011年10月1日

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