かぜの科学:もっとも身近な病の生態 (ハヤカワ文庫 NF 421)

  • 早川書房 (2014年12月19日発売)
3.48
  • (11)
  • (19)
  • (22)
  • (6)
  • (3)
本棚登録 : 336
感想 : 33
4

風邪。それは単一のウイルスによる病気ではなく、いわゆる風邪ウイルスは200種類以上ある。そして少なくとも5つの属があって、ピコルナウイルス、アデノウイルス、コロナウイルス、パラインフルエンザウイルス、インフルエンザウイルスがそれらです。本書ではそれらのなかでも、ピコルナウイルスに属するライノウイルスによる風邪症状に焦点をあてて、風邪全般を考察する内容となっています。なぜライノウイルスかといえば、風邪の40%がこのウイルスによるものだからだそうです(日本では違うかもしれないので、「アメリカではそうなのだ」という注釈が必要かもしれません)。本書は力作の部類に入るでしょう。アメリカのテレビ局製作のドキュメンタリーを見ているかのように、それらに特徴的な構成ですが、いろいろな専門家の言葉をキーポイントにして、話が切り換って進んでいきます。ちょっとこってりしているところもありましたが、絶妙な比喩でもって楽しませてくれる文章もちらほらあります。また、巻末には、風邪療法のあれこれについて、トピック別に短評をつけてまとめてくれていますし、チキンスープやブイヨンなどのありがたいレシピまでついています。これだけ真摯にリサーチして、エンタメの精神までこもっている本でした。アメリカのライターの力量の、その厚みを感じます。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 説明文
感想投稿日 : 2020年4月26日
読了日 : 2020年4月26日
本棚登録日 : 2020年4月26日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする