青い花の下には秘密が埋まっている 四季島植物園のしずかな事件簿 (宝島社文庫)

著者 :
  • 宝島社 (2020年8月6日発売)
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本棚登録 : 103
感想 : 7
3

早く自立したいため高校卒業後すぐに公務員になったが、花嫌いなのに配属先が植物園だった花澤咲良のお話

職場の上司は植物大好き人間の宇喜多、そしてマスコットキャラ的な九官鳥の風月(愛称:ふーちゃん)
花嫌いの咲良と公園の関係者達が織りなすヒューマンドラマ

若干の日常の謎要素もあり
・入院している母親に花をあげたい小学生女子
・柱に毎日違う植物が飾られる謎
・咲良が植物を嫌いだという理由 
・父親が咲良に見せたいもの


日常の謎っぽいのは毎日柱に飾られる植物で、他のは日常の謎っぽくないかな
飾られている植物の意図も、真相を知った後でもかなり捻られていると思える
元から知っている人じゃないとわかんないんじゃないかなぁとも思うけど、それを含めて「誰が?」というヒントにもなっているからなぁ

それよりも、気になった謎としてふーちゃんにことわざを誰が覚えさせたのか?
本文では謎として提示されていないし、答えは書いていないけど、やっぱり植物園を気にかけてる登場人物というと消去法で決まってしまう気がする
もしくは、何か他の裏設定でもあるんだろうか?


物語全体の謎として、咲良はなぜ花嫌いなのか?というのがテーマで
母親を亡くしたのと関係あるんだろうなぁというのが序盤から小出しにされている
読み終わってしまえば、さもありなんと思える

子供の頃の印象と大人になってからの感覚では、風習の捉え方も変わりますよね
まぁ、働いているとは言っても咲良はまだ未成年ですけど

そう言えば、有間さんの小説って未成年が仕事をする話が多くないか?
太陽のあくび、魔法使いのハーブティー、アルケミストの不思議な家 等々

作中で一番好きなエピソードは、青いバラの花言葉が変わったというやつ

青いバラの花言葉は、昔は「不可能」だったけど、実際に作られた事で「希望」や「奇跡」という意味に変わったいうのは好き

何で青いバラができなかったかというと
バラは青色の色素を持たないので、いくら他の色素を抜いても青にならなかったわけで
なぜできたのかというと、遺伝子操作で青色色素のデルフィニジンを作る遺伝子を組み込んだからなんだよね

これの何がすごいかというと、青色発光ダイオードの発明がノーベル賞級だったように
バラに三原色が揃ったので、多様な色のバラを生み出すことができるようになったところ
そして次の課題は黒バラという段階になっているのは興味深い

今のところ、完全な黒バラはできてないけど、赤みがかった黒までは実現できているんだっけか?

いやぁー、昔はできなかった事ができるようになるという科学の素晴らしさですね
作中でも登場したキーとなる植物ですけど、高原でしか生息できないとされているものの、あの人ならなんとかしちゃうんじゃないかという期待感もありますよね

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年4月19日
読了日 : 2022年4月11日
本棚登録日 : 2022年4月19日

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