ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士(下) (ハヤカワ・ミステリ文庫)

  • 早川書房 (2011年12月5日発売)
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本棚登録 : 2992
感想 : 315
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映画化されアカデミー賞編集賞も受賞した作品。
世界的に売れに売れた本の一つだが、著者は最後まで見ることなく死去。

悪魔崇拝者、レズビアンと呼ばれる女性は強く、一人で立ち続けている。
数奇な運目に飲み込まれ、多くの人に蔑まされながらも、ある意味で達観して戦い続ける。
洞察力と行動力のある記者とともに進み、その結果がわかる最終章。

こうあるべき、こうだろうという想像が、多かれ少なかれ人にはあるだろう。
それでもこの本の中でも、色メガネをかけていない人たちは、
彼女がおかしくないということを理解している。
多様性、尊重といわれる世の中で、どれだけの人がそのことを実践できているのだろうか?

その前に目の前の人にきちんと向き合えているのだろうか?
この本の本当のところは、目の前にいる人と理解、認識、許容し合い、
お互いにお礼を言えているのかという、根幹のコミュニケーションを言っている気がした。

以下抜粋

- 「ひとりのほうがいいわ。あまりしゃべらないならいっしょにいてくれてもいい。うちに来てセックスする気はないわよね?」
「ええっ?」とアニカ・ジャンニーニは言った。
「やっぱり。あなたは筋金入りにのストレートだものね」
アニカ・ジャンニーニは急に愉快そうな表情になった。
「依頼人からセックスに誘われたのは初めてよ」
「興味ある?」
「ごめんなさい。まったくないわ。でも、誘ってくれてありがとう」(P.508)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 物語
感想投稿日 : 2021年11月16日
読了日 : 2021年11月16日
本棚登録日 : 2021年11月16日

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