集合と位相 (数学シリーズ)

著者 :
  • 裳華房 (1986年11月5日発売)
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本棚登録 : 180
感想 : 15
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 名著。集合位相を学ぶならこれ。とにかく内容が洗練されていて、知識の導入、展開、応用の三拍子がそろっている。丁寧に読んでいけば自然と知識が身に付いている。問題の解答も始めの方は丁寧に書かれているので安心。でもちゃんと自力で解くことは重要。後半は解答がないこともあるが、自然と知識が付いているので解答が無くても解けてしまうという親切設計。後で読み返すと他の分野も見据えた構成になっていることが読み取れる。気付きにくい不備(証明の不備など)がままあるが数学書としては珍しい程に少ない。

以下内容。
 集合論は素朴な定義に留め、公理的集合論は扱っていない。写像や二項関係、選択公理など数学をやる上で外せない話題が押さえてある。
 位相に関してはまずユークリッド空間の具体例から距離空間、位相空間へと徐々に抽象度を上げていく。従って位相の公理がいかに自然なものであるかがよくわかる。導入が終わると与えられた位相空間から別の位相空間をつくる方法や、コンパクト性、分離公理などの位相的性質へと内容が展開していく。
 終盤では距離空間の議論に立ち戻り、完備性に関する話題があり、最後に応用として入門書ではあまり扱うことが少ない写像空間を学ぶ。

 でも著者の内田伏一は魔方陣の本を書いていたりもする。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 数学書
感想投稿日 : 2011年8月20日
読了日 : -
本棚登録日 : 2011年8月20日

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