日本では正確な定義を外れて有名になってしまった「イノベーションのジレンマ」を回避するための方法として、2つのイノベーションの手法を社内に持つべきだと主張するのが本書だ。一つは漸進的なイノベーションと呼ばれるもので、一般的に製造業や日本企業が得意としている”カイゼン”に近い。もう一つは非連続なイノベーションで、(本書の中では使われないが)一般的に「破壊的イノベーション」と呼ばれるものに近い(厳密には違うが・・・)。著者はこの2つのイノベーションを使い分けることができる経営を「両利きの経営」と呼んでいる。
増補版では、この両利きの経営を実現するためのリーダーシップのあり方や組織文化に関する記述が大幅に追加されたとのこと。内容としては確かに重要なのだが、増補ということで全面改訂ではないせいか、同じ内容を繰り返し読まされている気になってしまうのがやや難点だろうか。
個人的な疑問点としては、本書で繰り返し言及されているイノベーション・ストリームは、アンゾフの成長マトリックスとかなり近い点があり、その点を著者たちがどのように考えているのかは知りたいと感じた。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
経営
- 感想投稿日 : 2023年6月1日
- 読了日 : 2023年5月31日
- 本棚登録日 : 2023年6月1日
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