静謐で、美しくて、芸術とは何かということについて、まさに「味わわせてくれる」映画。原作はスウェーデンの女流作家アイザック・ディーネセンの短編。
バペットの芸術作品ともいえる料理の、どこがどうすごいのか、料理をいただいた12人のうち、ちゃんと「鑑賞」していたのは、将軍ひとり。あとの11人は、フランス料理なんて味わったこともない。彼らは、将軍のように、自分たちの口にしているものについての知識も無ければ、価値もまったくわかってない。
でも、それでいいのだ!
知識が無くても、価値がわからなくても、おいしい料理はおいしい。
それで皆の心が解きほぐされ、幸福な感情と古き良き記憶を共有する。そこにこそ、芸術の意味がある。そして、芸術家は、その一瞬のために、自分のすべてを注ぎだし、最高の作品をうみだす。
最後のバペットの「貧しい芸術家などいないのです」の一言に、思わず涙してしまった。
ヨーロッパ文化の懐の深さをうかがい見るような、素晴らしい作品。
[米国・英国それぞれでアカデミー外国語映画賞受賞]
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
映画(洋画)
- 感想投稿日 : 2013年1月10日
- 読了日 : 2013年1月9日
- 本棚登録日 : 2013年1月10日
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