物語スイスの歴史: 知恵ある孤高の小国 (中公新書 1546)

著者 :
  • 中央公論新社 (2000年7月1日発売)
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本棚登録 : 179
感想 : 15
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詳しい年表といった趣のスイスの歴史。
良くも悪くも淡々と、できごとをどんどん並べ立てていくのみ。
ある程度ヨーロッパ史や歴史における常識のようなものを知っていないときついかも。
初心者にはちょっと難しい。ぽんと名前だけだされても、それ誰よ?それどんな会議よ?ってところがたくさんあった。
しかし概略なので詳しい人が読んでためになるかは微妙。
この薄い本で一国の歴史を概観しようってのがそもそも大変な条件なわけだけど。

知っていて当然だと思っているのか、それが普通のことだと思っているのか微妙だけど、「国民投票」に女性が含まれていないことに「あれ言ってなかったっけ?」くらいのノリでしか触れられていない。それ国民投票じゃなくて男子普通選挙って言わないか?
そんな感じの書き忘れがかなりありそうな気がする。(けど知らないから気付くことができない)
ちなみに国連加盟を問う国民投票(1920年)のポスターに書かれたイラストが女性だった。連邦レベルで女性参政権が承認されたのは1971年。意外と遅い!

スイスの歴史自体は周辺各国と毛色が違って面白い。
侵略して大きくなるんじゃなくて、侵略されないために寄り集まって大きくなった。
スイミーっぽい。
で、君主がいない。君主がいないのは平等だからじゃなくて、ひとつの群で一国だから。
スイミーっぽいなあ。

それにしてもこのシリーズはコンセプトがしっかり著者に伝わっていないんじゃないだろうか。というか作る人(書く人じゃなくて)がしぼりきれてないのかな?
ナラティブなのか伝承の類をテーマにってことなのか物語風に語れってことなのか、ちゃんと決まってないから書く人がぶれちゃうんじゃないかな。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 地理・歴史(大枠・流れ)
感想投稿日 : 2011年5月22日
読了日 : 2011年5月24日
本棚登録日 : 2011年5月21日

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