人に話したくなる世界史 (文春新書 1165)

著者 :
  • 文藝春秋 (2018年5月18日発売)
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本棚登録 : 123
感想 : 15
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歴史というと、年号を覚えて、普段使わないような難しいことをひたすら覚えて、同じような名前が何度も出て来るのを覚えて......。
そんな、恐ろしく退屈な暗記科目、と思ってはいないだろうか。
あるいは、そんなの誰も知らねえよ!と叫びたくなるようなマニアックな問題にさらされ、しかしマニアックな人々はそれを常識とでも言わんばかりに平気で解いて、テストでの屈辱を覚えたりしてはいないだろうか。

しかし本来歴史とはそういった学問ではないはずだ。
人の営みというものは面白く学びを得られるもののはず。
本書はそこに焦点を当てて、少し変わった角度から現代との関わりを感じさせる構成になっている。
例えば、ヴァイキングとイスラーム商人、織田信長とイエズス会、数学者が作った保険など、ブックガイドもついており、好奇心を刺激する。

フェルマーが作った保険の基礎、「確率論」。
それぞれ数学者、保険、確率論と区切ると全然面白くないし、覚えられない。
でも、自分に引き寄せて「未来を予測する方法」を知ると、その偉大さと、世界と歴史がどうつながっているかわかり、興味がわく。

本書は高校世界史の知識があれば、さほど難しいものではない。
ちょっと優秀な中学生であれば、知っていることもあるかもしれない。
でもそうでない、普通の読者は、教科書や教師を離れて別の視点を得ることで、今までバラバラになっていた知識が統合する面白さを感じられるし、何より歴史、つまり「未来」に向けて学問が目指すものを理解し、定着させることができる。
学ぶことの面白さを感じさせる良い本だ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 歴史
感想投稿日 : 2018年11月13日
読了日 : 2018年10月17日
本棚登録日 : 2018年11月17日

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