日本文壇の巨匠たちは、作品は素晴らしいが、中身はろくでもない奴らばっかりだなと昔から思っていた。
他人の妻は平気で寝とる、誘惑する、捨てる、金はせびる、返さない、友をなじる、捨てる、嫉妬する......。
しかしここまで悪口が達者だと、やっぱりすごいのかもしれない、大家とはこういうものだ、と思ってしまう。
太宰治はまあコンプレックスの塊で、
「いやしいねえ。実にいやしいねえ。自分が、よっぽど有名人だと思っているんだね」(24頁)
と言ってみたり、川端康成に
「刺す。」(16頁)
と言ってみたり、いやいや、なんともあけすけ、露骨、大っぴら。
私の大好きな谷崎潤一郎は、自分の妻が嫌で、妻の妹に懸想するが振られてしまう(当たり前だ)。
しかしその後妻とよりを戻す。
最低だなこのおっさん。
そして恋敵の佐藤春夫とは丁々発止、
谷崎はこういう。
冷静ぶってないで言えよ、汚いところをむきだしにせよ(212頁)
お涙頂戴なんてことをするな!
という内容の書簡を送っている。
あの美しい言葉遣いの、タニザキはどこへ?
まあ文豪たちの口汚さったら!
人間らしいというか、黒々として正視に耐えない。
が、だからこそ文豪なのかも。
清濁併せ持つから、他人の心を引きつけるのだから。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
日本文学
- 感想投稿日 : 2019年11月24日
- 読了日 : 2019年10月21日
- 本棚登録日 : 2019年11月24日
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