時空のからくり 時間と空間はなぜ「一体不可分」なのか (ブルーバックス)

著者 :
  • 講談社 (2017年6月14日発売)
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感想 : 23

特殊相対性理論が説く時空の性質について,平易な水準から解説を始め,そこから一般相対性理論による,重力と時空の関係を説明し,更にそれらの根拠となる,重力波の観測に関しても扱う.私の理解が十分でないのかもしれないが,推進力を得て加速するロケットと,重力場内で静止しているロケットとを,内部から見れば同一視できる(等価原理)とした上で,92ページ以降で,時間の進み具合や光の経路についてもこれを適用できるとし(ここが飛躍して見える),重力ポテンシャルエネルギーとの関係を扱う記述はおかしいと感じた.重力で光が曲がるのは最終的に時空そのものの歪みで説明するはずで,単に加速するロケット内で光が慣性に従うというレベルの話ではないのでは?それを抜きにしても結局光速が変化するという話なら,濃度勾配のある溶液中での屈折の例とかが適切かと思う.一般相対性理論では時空の歪みを扱うが,物体が時空の歪みに従って最短の測地線で運動すると同時に,それ自体でも時空を歪ませるという相互関係にあること,測地線自体は微視的にはミンコフスキー時空として,等速直線運動をしているとみなせる座標系を集めたものから成っていることが理解できた.一般相対性理論の方程式は,空間の曲率と質量・エネルギー・運動量の相互関係を規定しているものの,エネルギーと質量の相互関係も考える必要があり,非常にややこしいということを認識.あと曲率についての説明がよかったと思う.

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 文庫・新書・単行本 - 自然科学
感想投稿日 : 2018年12月19日
読了日 : 2018年12月19日
本棚登録日 : 2018年3月9日

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