ハナビ

著者 :
  • 宝島社 (2009年2月19日発売)
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本棚登録 : 101
感想 : 23
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いい意味で携帯小説みたいだった。
読みやすかったし、和歌ちゃんに共感できる部分もいっぱいあった。
ハナビはすごく思わせぶり。
心のどこかで期待したままで月日が流れて、次の恋にうまく進めない。
そういう状態になったことがある人は共感できる部分があると思う。
和歌ちゃんが正樹と付き合いだした(?)ときにハナビにそのことを言ってやりたいから、っていう部分があるけど、すごく共感した。
「私は新しい恋にすすんでるし、もう引きずってないんだからね!」て強がりたい、惜しいことしたって思ってほしい。そんな感じ。完全にハナビのこと想っての思考回路。わかる。

ハナビがタイミングが悪かった、って言うところがあるけど、ずるい男の決まり文句だな~って思った。最後にじつは新しい彼女がいるっていうのがすべてを物語っていたし、無意識の女ったらしなんだと思う。
でも私はそんなハナビが悪いとは思わない。
悪気がない無邪気な女ったらしのハナビは私が好きなタイプだ。
和歌ちゃんに正樹が現れてよかった。
引用にも載せているけど、「正樹はスポンジみたい」「私が水なら」ってところがすごく好き。スポンジみたいに自分のすべてを受け止めて吸収して愛してくれる人ってなかなか現れないと思う。そんな人に出会えて和歌ちゃんは幸せだし、そんな幸せに気付けてよかった。
そういう意味ではハナビと過ごした日々も無駄ではないと思う。
ハナビは水であってスポンジではない。でも自分も水だからとても似ていて、そして愛しい。でも愛し合う関係にはなれない。そして正樹とならなれる。そう気付けたのはハナビとの日々があってこそだし。
実っても実らなくても恋は人を成長させるんだな~。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2012年5月31日
読了日 : 2012年5月31日
本棚登録日 : 2012年5月21日

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