大あらし (1975年) (文学のおくりもの〈9〉)

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海洋天気予報も気圧図も無い1929年夏、あやうく転覆や沈没を免れた汽船の物語。「空気の塊は固体のように振る舞う」「これが双子台風であることに船長はようやく気づいた」航海というより困難な漂流が続く。
カリブ海の嵐に船長は暗礁の多い水域に退避するより、操舵で船首を風上に直面して乗り切る事を決断した。操舵室にあってはならないマットが舵輪にはさまり…ボイラー室も小さなミスで大火災!ハッチは二つとも刎ね飛ばされ水煙が浸透…彼食料を船長に持っていく忠誠心、「恥ずかしいことをした。オレンジを一人で食べてしまった」。二昼夜休みなく女子便所から石油を少し流し続ける(水面安定のため)ディックの行為が転覆から免れさせた(一・二等航海士も勇敢にドラム缶を届けた)。一心にポンプを動かし寝ているか起きているかわからない幻想。一支那人船員の死の間際に見るような生涯の回想あり‥救助船に曳航され食事も届けられ、上級・下位入乱れての食事で船長はわれ知らずディックに金時計を授与無線機はあるが、太陽か星が見えないと自船の位置が不明で救助求めようが無い。最後、救助船に感謝しながら、少し蒸気が出せるのを誇示して遭難ではないと自負する

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2019年5月3日
読了日 : 2017年4月7日
本棚登録日 : 2019年5月3日

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