「タモリさんを好きだ」と明確に思い出したのはいつごろだろう。たぶん本書にも明快に転機とされている、若いタレントが「タモさん」と呼び出したころ。
わたしはかつてのゲテモノ芸人だったころのタモリさんは知らない。子供の頃は「面白いことも言わないし、なんか暗そうだし、つまんない」と思っていた。BIG 3 ゴルフでやたらに負けず嫌いを発揮して、笑わせることより勝つことにフォーカスしていたのも嫌だった。
だけど。こちらが大人になり、タモリさんの教養の深さ、趣味の多さ、クールな諦観と、だからこそあっけらかんと明るく生きているところ、優しさや生真面目さなどに気づけるようになると俄然好きになった。
今回この本でいままでタモリさんが語ってきた生き方を読んでみて改めて驚くのは、わたしが長年ツラツラ考えたり、モヤったりしてきたことに相当若い頃に明快な答えを出していて、もはやお坊さんの粋だ。
社会人として大きな声では言いにくいけど、向上心や夢を持ち続ける生き方はしんどいし、友達なんてたくさんいなくても良い。幸せというのは、いまここにある現状に満足すること。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
ノンフィクション
- 感想投稿日 : 2024年2月10日
- 読了日 : 2024年2月10日
- 本棚登録日 : 2024年2月10日
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