謎のズッコケ海賊島 (ポプラ社文庫 A 244)

著者 :
  • ポプラ社 (1990年11月1日発売)
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本棚登録 : 153
感想 : 12
4

大昔に読んだズッコケシリーズをかなり久しぶりに再読。シンプルな文体ながらぐいぐい引き込まれる。この時代のズッコケ三人組はキャラが生き生きしていてとても眩しい。

ハゼ釣りをしていたモーちゃんが貧しいおじさんにおにぎりをご馳走し、海賊の宝を隠したという島への暗号をもらうところから冒険が始まる。
そして、同じく宝を狙うヤクザまがいの連中とも三人組ははち合わせてしまい…。という話。

児童文学らしく、ストーリーは分かりやすい展開ではあるものの、ハラハラさせるところもあり、しんみりするところもあり、内容の濃いアニメ映画を観たかのよう。結末が手放しのハッピーエンドとはいかないのも、それでも「やりきった感」の香る爽やかな読後感があるのも「らしい」。これは小学生ならハマるでしょ、と納得の面白さ。こんなアグレッシブな小学生、絶対成績も良さそうなものなのに三人ともテストが苦手なのもご愛嬌。今の時代だからこそ、三人組の行動力が際立って見える。

また、解説もすごくよかった。小学生の目線を忘れず、やわらかな文体でズッコケシリーズを紹介されていて、本当に「大人が子供へ語りかける」よう。子供が思う「大人の理不尽さ」を、親身になって言語化してくれている。ストーリーの余韻を上手く味わわせてくれる名文。一昔前の、優しい、大人のおじさん、って感じ。

改めてズッコケ三人組は面白い。ズッコケ黄金期のリアルタイムよりちょっと遅い世代だが、この三人組と共に子供時代を過ごせてよかった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 児童文学
感想投稿日 : 2020年1月13日
読了日 : 2020年1月13日
本棚登録日 : 2020年1月13日

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