東京大空襲の戦後史 (岩波新書 新赤版 1916)

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  • 岩波書店 (2022年2月18日発売)
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序章 命を削って訴える高齢者たち
第1章 一〇万人を殺した無差別爆撃
第2章 今日まで続く戦争被害
第3章 民間人差別 国の論理
第4章 「受忍論」と裁判
第5章 立法運動の開始
終章 未完の戦争――当事者が望んでいること

 新聞連載をもとにした内容で、問題の全体像をわかりやすい形で教えてくれる(ただし、他の関連する問題=徴用工問題や慰安婦問題とのつながり/かかわりに関する言及は見られない)。とくに、空襲被害者たちの戦後の苦難と、空襲議連での議論と議会における議論のプロセスが詳しく紹介された点は重要。
 民間人戦争被害者に対する「補償」を出来るだけ小さくしようとする政府のありようは、現在の日本国家が戦時体制からの延長線上に作られた事実を、あらためて突きつける。「パンドラの箱論」とは、まさに日本国家の正統性にとってのそれを意味しているのだ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 歴史
感想投稿日 : 2022年3月24日
読了日 : 2022年3月24日
本棚登録日 : 2022年3月24日

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