一問一答式のガイドブックのような書名だが、一般的なオペラ入門書では全くない。オペラの歴史や上演の仕組みのような基本的なテーマはもちろん述べられるが、「なんで歌手の衣装は高級なのか、古着ではだめのか」とか「なんで金食い虫なのか」とか類書ではまずお目にかかれない問題も検討される。いずれも「解説」というより「考察」であり、ドイツのオペラ研究の第一人者である著者らしく学究的で深い知識に裏打ちされている。横書きのせいもあって決して読みやすい本ではないが、オペラと社会の関係をめぐる綺麗事ではない裏面も含めた周辺事情と課題を知る上で有用である。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
随筆・随想
- 感想投稿日 : 2020年8月8日
- 読了日 : 2020年8月8日
- 本棚登録日 : 2020年8月8日
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