2013年のアルバム。失礼な話だけど、「ポリリズム」がヒットしていた'07年当時は、まさか5年後にまだperfumeが一線を張っているなんて思いもしなかった。こんなに「タイアップ満載」で「尖った」アルバムを出しているなんて想像もできなかった。perfumeという存在が、3人自身からも、関係するスタッフからも、そしてファンからも大切にされていることがうかがえる。
「Spring of Life」(M-2)「Magic of Love」(M-3)「だいじょばない」(M-5)「Party Maker」(M-7)など、一度聴いたら耳から離れないリズム、メロディは本アルバムでも健在。それに加えて、本作品では「1mm」(M-5)「Spending all my time」(M-13)など、"今のperfumeだからこそ映える"楽曲群が立っていて、この点が本当に素敵だと思う。
'07年当時に比べると、中田ヤスタカ氏の手がけるアーティストのなかでも、capsule本体が「バキバキのカッコ良さ」のほうに振りきれていく一方で、「ユルユルなキャッチーさ」を極めたきゃりーの楽曲がヒットを続けていることもあって、今のperfumeの立ち位置は、ともすれば中途半端なものに見えてしまいがち。
ただ逆にいえば、中田氏の本領は個人的には、あざといまでの「スタイリッシュさ」の中にさらっと「ユルさ」を入れてくる、その絶妙な距離感というかバランス感覚にあると思っていて(そんな訳で、中田氏が金沢出身ときいて、やたら納得した覚えがある)、その絶妙さこそが「中田ヤスタカの時代」がこれだけ長く続いている、最大の理由だと思ってる。
その意味で、両極に振りきれてしまった中田ワールドの中で現時点で一番「中田ヤスタカらしい」楽曲を割り当てられているのがperfumeであり、今のperfumeが自然体でそれに応えきっているのが素敵だと思う。
たとえば音的にも歌詞のうえでも、最近のJポップのなかでは群をぬいてヘビーな楽曲「1mm」(M-5)。ガラスの積み木を組み上げていくようなサビの頂点で《もういい、もういい、くないよ》とサラッと外してくるあたり、妙にリアルで、じわっと身に沁みてくる。気づけば、perfumeの中で一番よく聴いているアルバム。
- 感想投稿日 : 2015年7月5日
- 読了日 : 2015年5月20日
- 本棚登録日 : 2015年7月5日
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