社会科学の理論とモデル 5 コミュニケーション

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  • 東京大学出版会 (2000年9月1日発売)
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コミュニケーションに関する幅広な知見が記載されている良書でした。コミュニケーション初学者にも十分理解できる内容だと思いますし、1対1のコミュニケーションだけでなくマスコミの役割やインターネット時代のコミュニケーションのあり方についても記載されていて大変満足しました。まずもっとも目を開かせられたのが、コミュニケーションの目的の1つは共有であること。言い方を変えると、「社会的リアリティ」を確認するためのプロセスであるということです。会社で同僚と何気ない会話をするのは、それを通じて、どんなトピックが重要課題として認識されるべきなのか、職場の人間はどういう立場をとっているのかを感じ取ることを通じて、自分の立ち位置を確認したり、意見を修正したりするわけです。また本書では、コミュニケーションには「説得達成の相」「リアリティ形成の相」「情報環境形成の相」の3つがあることが示され、全編通じてこの視点で解説がなされています。個人的にはインターネット時代の分析をさらに進めたアップデート版が読みたいと思いました。ソーシャルメディア、あるいは今年急進展したテレワークでコミュニケーションがどう変わっているのか、のあたりについても興味が湧いてきました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2023年5月6日
読了日 : 2020年12月31日
本棚登録日 : 2023年5月6日

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