秋道智彌・語り「日本くじら物語」
この本の内容は、
第一回目では16世紀から19世紀における世界の捕鯨を視野に入れ、日本の歴史の中で太地(和歌山県東牟婁郡)における捕鯨が果たした役割について述べられている。
第二回ではクジラと日本人との関わりの歴史がの述べられている。
第三回目では日本におけるクジラの多様な食文化について述べられている。
第四回目ではクジラの捕獲をめぐる規制や管理の問題について取り上げ、これまでの捕鯨の歴史を踏まえて、今後、クジラと人間はどのように付き合っていけば良いかについてのべられている。
この本の中で私が面白いと感じたところは、第一回である。
第一回には欧米諸国による捕鯨は常に拡張主義であった。つまり、欧米の捕鯨は、ある種類のクジラがある漁場で獲り尽くせば、新たな漁場を次々開拓し、獲れるだけ獲ったあとはさらに別の漁場を求めるという歴史を辿ってきた。
また、日本の捕鯨漁場はジャパン・グラウンドと呼ばれ、クジラの宝庫とみなされ、鎖国下にあった日本のすぐ沖合に突如として米国の捕鯨船が出現したとされている。
そのため、日本近海でのマッコウクジラを中心とした大型鯨類の資源が急激に減少し、捕鯨に依存していた太地では生活の糧を失うことになってしまった。
ということが書かれており、太地がどれだけ欧米諸国に翻弄されていたかがよく理解できる。
読んで欲しいところは、第四回である。
第四回ではクジラは誰のモノなのかをテーマにこれまでの歴史や、今後どうしていけば良いかが述べられている。
クジラは釧路とも縁があるのでぜひこの本を読んで日本のクジラの歴史や物語を知って欲しいと感じた。(210105- 017)
- 感想投稿日 : 2021年1月8日
- 読了日 : 2021年1月8日
- 本棚登録日 : 2021年1月8日
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