夜の鳥

  • 河出書房新社 (2003年6月21日発売)
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本棚登録 : 217
感想 : 42
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ノルウェー児童文学。
子供が子供でいられなくなるときは、意外と早く来る。
すごく良いのが父と子の関係性。父は情けない。そして対等なのだ。子供のヨアヒムを一人の自立した大人のように扱う。
この作品は子供を除け者にはしない。その意味では垣根がない。実際、子供のころでも親を見るときは随分と下に見ることも多いものだ。子供なりの解釈は、けっこう正しい。大人は本当に情けない。ヨアヒムのようにじっくり見ればわかるし、父は弱さを隠すこともできない。けっこうそういうものだなあと思う。
不安の形に、夜の鳥がいる。子供の視点にマジックリアリズムはよく溶け込み合う。マイブリットの神秘性も、きっとヨアヒムの脳内で処理しきれない存在だから、この視点からは謎が多い。好意、というものがどのようなものかわからない年齢にとって、それを表現することはできないし、できることはハンカチをあげる、ということだけ。読む側からはわかるけれど、語る視点では理由も気持ちも語ることができなく、それがどうにも可愛らしい。
しかし、わかりやすいエンドを用意せず、成長や物語の落とし所が描き切れていない。終わりでもいいけれど。続編があるらしいので、そちらで補完でしょうか?

あと木靴履いてるっていいな。1975年に木靴履いてんのか。たまんねえな。

待つことは嫌だ、のヨアヒム。待つことというよりは、待たされているという被害者。真に待つことの楽しさを知るのは、ずっと先なのだろう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2014年9月2日
読了日 : 2014年9月2日
本棚登録日 : 2014年9月2日

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