アレックスと私 (ハヤカワ文庫NF)

  • 早川書房 (2020年10月1日発売)
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本棚登録 : 387
感想 : 31
3

面白かったです。
鳥と人のふれあい的なものがいちばん大きなテーマなのかなーと思って読み始めましたが、そうではなかった。
1人の女性が学会の中で認められ、研究を続けていくことの大変さ。ましてやそれがそれまでの常識を覆す研究であったときの逆風の強さがリアルに描かれています。生活の不安を抱えながらも信念を持って研究に取り組み続ける著者の姿に励まされる思いがしました。
アレックスのキャラクターも魅力的。とても賢いけれど気分屋でわがままでいたずらっ子。著者が落ち込んでいるときにずっとそばにいて、「ナデテ」(撫でて)と頭を預けてくるアレックスの様子など、本当に愛らしい。著者にとっては逆風を共に進んだ同志のような存在だったのでしょう。
著者が偶然の出来事や失敗の中からアレックスの新たな知的能力に気づいていく場面には、ものごとをあらゆる方向から見られる力の大切さを感じました。
それまで「鳥頭」にはできないと断じられていた常識を次々と覆したアレックスはある日突然亡くなりました。アレックスが著者にかけた最期の言葉「イイコデネ。アイ・ラブ・ユー」が悲しい。
まだまだ絶頂期だっただけに、その死は世界中で惜しまれましたが、アレックスの後輩たちも頑張っているようです。私にとってこの本を読むまで知らなかった世界ですが、これからその活躍を楽しみに見ていきたいです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: いろいろ
感想投稿日 : 2020年11月30日
読了日 : 2020年11月30日
本棚登録日 : 2020年11月30日

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