僕はこの本のタイトルとなっている連合赤軍の女性メンバーの分析よりも、むしろ戦後史に対する大塚の態度にとても共感してしまった。
「たとえ「憲法」が「与えられた」(あるいは強制された)ものであったとしても、五十年の歴史を具体的に生きたのは日本人たちである。そこで達成されたもの、さらにはその過程で顕わになった困難さ、それら歴史的所産の主体は戦後社会を生きた日本人たちの責任である。安直な戦後民主主義批判や憲法押しつけろ論に戦後社会の諸問題を無批判に結びつけてしまう類の言説は、それこそ「歴史」に対する責任の放棄に他ならない」(p152〜153)
「日本国憲法および戦後民主主義への評価は、それがいかなる政治的起源をもって始まったかの立証によって終結するわけではない。それは出発点にすぎず、その後、私たちはそれをいかに生きたかこそが検証されるべきである」(p171)
「戦後民主主義」のみならず、歴史的視点を欠いた現状分析は、空虚なものになってしまうような気がする。その意味で、日本の戦後はいかなる「過程」を経たものだったのか、という分析の必要性を説くこの文章に、僕は大きくうなずいてしまうのであった。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
社会科学
- 感想投稿日 : 2008年4月27日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2008年4月27日
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