歴史研究部に所属する少年と大阪弁を話す胡散臭い男が出会い、「皆のあらばしり」という存在するかも分からない未刊の本を探す物語。
この男は一体何者なのか?なぜそんなにもその本に執着するのか?細かい描写はなく、疑問点も残る。
でも、それはこの本の伝えたい本質がそこではないからなのだろう。
最初は胡散臭い男を怪しい目で見ていた少年。知らない人に付いていってはいけはいことは十分理解している。それでも、この男と行動を共にしたのは彼の知識力や佇まいに憧れと尊敬の念を抱いたからだろう。
「能ある鷹は爪を隠す」とはよく言うが、この男はまさにそれだ。知識を振りかざすわけでも偉ぶるわけでもない。ただ己の興味や欲望のためだけに静かにその知識を使う。
この男は面白い!知識があるって面白い!
少年がきっと感じたであろうその気持ちを私も一緒に感じ取ることができた。
自らの知識が乏しいと事象を推察することも、物事の真理に触れることも出来ない。知識が広がると世界が広がる。そんなことを感じた読書だった。
いつか少年が相棒として活躍できたら良いな。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
文芸書
- 感想投稿日 : 2022年2月10日
- 読了日 : 2022年2月7日
- 本棚登録日 : 2022年2月7日
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