民衆暴力―一揆・暴動・虐殺の日本近代 (中公新書 2605)

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  • 中央公論新社 (2020年8月20日発売)
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阪神淡路震災や東日本震災の時に略奪が起きなかったり、コロナ禍にあってルール通りにマスクをしたりする近年の日本人しか知らないと意外な事実ですが、日本人は間欠的に集団ヒステリーになる歴史があります。「民衆暴力」はこの事象を掘り下げた数少ない新書です。二宮尊徳の思想を通俗道徳といい、近代国家では統治のためのイデオロギーとして用いられたそうです。通俗道徳は自らの境遇を個人の責任に還元する罠だというのです。尊徳の言ってることは間違ってませんが、身の不遇を社会の構造問題から自己責任へとすり替えるのですね。なるほど。学校から尊徳像が消えるわけです。

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感想投稿日 : 2020年10月20日
読了日 : 2020年10月20日
本棚登録日 : 2020年10月20日

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