大阪寝屋川のバラック板張り平屋集落に暮らすジョゼは生まれつき足が萎えていて外出するにも乳母車に乗せてもらっています。養育する祖母は彼女をこわれものといい、穀潰しである彼女を世間に出そうとはしません。そのため、既に二十歳を超えましたが未就学です。大阪貧民地区の雰囲気も再現できています。独学で高校の教科書を読み、サガン好きな彼女は聡明で自らをジョゼと名乗ります。一方、三流大学に通う恒夫はイケメンで女に不自由のない毎日ですが、同情心から愛が芽生え、彼女との生活を始めますが、覚悟はありません。そんな彼を見抜きながらも、動物園で虎を見て、初めて海を見る、ラブホで凄いエッチをする、そんな時間を大切にしています。外の世界を知らなかったジョゼが青春の輝きを知った大切な時間でした。田辺聖子の顔があります。酸いも甘いも、そこには人生がありました。
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- 感想投稿日 : 2022年1月15日
- 読了日 : 2022年1月15日
- 本棚登録日 : 2022年1月15日
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