兵站という裏方?に興味を持ったのは、学生のころにヴィリリオの『速度と政治』(1975年に書かれたのがなぜか当時はやっていた)を読んだのが最初だと思うが、本書も同じ頃1977年に書かれたらしい。著者はヘブライ大学のイスラエル人歴史家で当時31歳だと言うから驚き。
兵站の歴史とは、現地徴発への依存からの脱却することであるという。技術的には、馬、鉄道、トラックと変化してきたが、一次大戦までは馬の大量のマグサが支配的で、軍隊は移動し現地徴発し続けることを余儀なくされた。だから、包囲戦で困るのは攻め手側なのである。
本書は欧州が舞台だが、そう考えると史上最大版図のモンゴル帝国を築いたのが定住しない遊牧民だったことも理解できるような気がする。停止したら大軍は維持できないのだ。
最初から現地徴発を期待できなかった北アフリカ戦線のロンメルは、如何に軍事的な天才であろうと延びきった補給線を維持できないため敗北は予期されていたと言う結論になる。
ドイツに攻め寄せる連合軍は、逆に兵站を悲観的に精緻に計画しすぎて足かせになり、可能だった早期の終戦のチャンスを逃したというから、難しい話である。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
歴史
- 感想投稿日 : 2016年11月11日
- 読了日 : 2016年11月11日
- 本棚登録日 : 2016年10月1日
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