あとだしじゃんけんみたいで恥ずかしいけれど、序盤から、そうそう、私もそういうことを言いたかった!(ような気がする)と思ってばかりいた。自分ではことばにできなかったことがらを、美しい物言いで表明してもらう喜び。おもしろかったなあ。
わからないままに置いておいちゃいけないのかなあ、というもやもやがいつもどこかにあった。明らかにことばにできたからと言って、それがわかったことになるのか、わかった、とすることで見えなくなることがあるんじゃないか、そういうもやもや。わからなくても好きなものもあるし、わからないものをまるごと持っていることもできる。理解できた、という気持ちになったことだけを自分のものにできるわけではない。わからなくても、なにかもっとひらめきや直感的な部分で、自分に必要なものは、というか、これは自分の持っていたいものだ、というものは感じるものなのではないか。わかることを前提に置くと、そういう感覚って、衰えるような気がする。
感じることはできる、からわかるまでは時間をかけたっていい。というか、そのほうがたのしい。そういう諸々のこと。
「すぐにわかったつもりになるのをやめて、簡単にわかってしまわないようにする」態度のたいせつさ。
早く決まるのがいいとは限らない。
出てくる詩は、知らなかったものばかりで、わくわくした。まだこれから出会えるものもたくさんある。
たのしい読書体験だったなあ。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2013年10月9日
- 読了日 : 2013年10月9日
- 本棚登録日 : 2013年10月3日
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