「『複数の人間(集団)が、相容れない目的をもっているとき』、紛争は生まれる」(P14)。分析のスタートとして的確な定義だと思う。つまりそう簡単に紛争はなくならない、ということだ。では不安定なりに維持しなければならない秩序とは何か。
著者が強調するのは、世界のそれぞれの地域に「国民」が存在し、その「国民」が「国家」を形成しているというしくみ(P38)自体が、せいぜい20世紀後半に確立したものであること、このいわば「今たまたま」の国際秩序を費用対効果に見合った方法で維持できるのか、その答えは見つかっていないこと(P42)、の二点。
当たり前だが、すべてを整合的に説明できるような統一理論は社会科学には(今のところ)存在しない。ただ冷静な観察からある種の傾向を見つけることは可能、ということは言えそうだ。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
政治・経済
- 感想投稿日 : 2019年1月1日
- 読了日 : 2019年1月1日
- 本棚登録日 : 2019年1月1日
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