国際紛争を読み解く五つの視座 現代世界の「戦争の構造」 (講談社選書メチエ)

著者 :
  • 講談社 (2015年12月11日発売)
4.00
  • (14)
  • (15)
  • (8)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 151
感想 : 20
4

「『複数の人間(集団)が、相容れない目的をもっているとき』、紛争は生まれる」(P14)。分析のスタートとして的確な定義だと思う。つまりそう簡単に紛争はなくならない、ということだ。では不安定なりに維持しなければならない秩序とは何か。

著者が強調するのは、世界のそれぞれの地域に「国民」が存在し、その「国民」が「国家」を形成しているというしくみ(P38)自体が、せいぜい20世紀後半に確立したものであること、このいわば「今たまたま」の国際秩序を費用対効果に見合った方法で維持できるのか、その答えは見つかっていないこと(P42)、の二点。

当たり前だが、すべてを整合的に説明できるような統一理論は社会科学には(今のところ)存在しない。ただ冷静な観察からある種の傾向を見つけることは可能、ということは言えそうだ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 政治・経済
感想投稿日 : 2019年1月1日
読了日 : 2019年1月1日
本棚登録日 : 2019年1月1日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする