1122(1) (モーニング KC)

著者 :
  • 講談社 (2017年5月23日発売)
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本棚登録 : 479
感想 : 25
5

初めて読んだ作家だが、極めて漫画が巧い。語り方、見せ方、展開の仕方が非常に洗練されている。時代のど真ん中を掴んで、逃げずに向き合う闘志を感じる。

一方で、登場人物たちのふるまいを逐一追っていきたい気持ちは湧かなった。それはたぶん、この題材における「結果」は再生か解散かしかないから。もちろんそれすらも、本当の人生においては「過程」の一部に過ぎないわけだけれど。そして私だったら確実にこうするという行動と、彼女たちの選択があまり一致しないからだ。彼女たちの選択や心情に共感するところが少なくないにしても。

「今週、妻が浮気します」という、インターネット掲示板を舞台に起きた実現象を題材にした書籍、ドラマがあったことを思い出す。あれも話の内容そのものというより「学級会の紛糾」そのものが現象の主体だった。この漫画もSNSなどを通じた「学級会の紛糾」を生じさせることを主たる目的としている。その意味でも、時代とぴったり背中合わせになるマーケティングの結果に生まれた物語なのだといえる。ゆえに問われているのは漫画の中身ではなく、この漫画に触れて以降、読者たちに何が生まれるか。なんだか「記事」に似ている。おもしろい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: コミック
感想投稿日 : 2019年4月16日
読了日 : 2019年3月1日
本棚登録日 : 2019年3月1日

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