星くずの殺人

著者 :
  • 講談社 (2023年2月22日発売)
3.21
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本棚登録 : 129
感想 : 11
2

コンセプトこそキャッチーだが、舞台設定がとにかくガバガバで微妙だった。つまらなくてナナメ読みした。
こういうミステリってトリック大事だと思うんだけど、EMPとか二酸化炭素とか宇宙特有のアイディアこそ使われてたものの(それらは必ずしもつまらなくはなかったが)、そのあたりのリアリティラインを担保できないってどうなんだろう。ちょっと宇宙関係者にインタビューでもすれば済みそうなのに、というレベルでひどかった。

全員日本人の尖ってる風のキャラクタードラマに時間が割かれていたが、国内ミステリはこのように書かないと売れないのだろうか、とも思った。ただ本作について言えば、キャラクター描写はどれも浅いし、愛着も全くわかず(というか区別も難しく)、さらには全員日本人で人物設定も含めてリアリティラインを大きく引き下げていて、大失敗だったと思う。

以前読んだ『時空犯』もひどかったが、SF風ミステリのガバガバ感なんなんだろう。

時計とか赤ペンライトとか、それぞれの描写が一応伏線的になっているところはミステリっぽくはあった。
機長を首つりに見せかけられたことは、きちんとした説明がなされておらず、驚きはなし。結局少ない力(慣性力と磁力ブーツ)でも殺せましたってだけ? 殺した理由もなんか邪魔だったけどツアー中止にならない程度にやった的な取って付けたような感じで納得感はない。

鍵となるEMPだが、そんな都合よく効果出せるもんなんだっけ。犯人の動機の壮大さこそ悪くないものの(とはいえ荒唐無稽で、インテリぶってるけどキャラとしての底がめちゃ浅い)、疑問符が残りまくった。

似たこと考えてたので警戒していた一作だが、こんなレベルなんだ、と良くも悪くもがっかりした。


## ■微妙なところ

・宇宙ホテルなのに日本人向け? ビジネスモデルどうなってるの?
・IHとはいえ自分で料理できたり、そんな宇宙施設ある?
・主人公のパイロットは客を乗せてるのに初めて宇宙へ(テストとかまったくやらないんだ…)
・ホテルの通信系はまさかのWi-Fiのみで冗長系なし。なぜか地上との通信はイリジウム衛星を使用。アンテナもなし?
・通信途絶や機器以上が起きてるのに、地上でのモニタリングの気配なし
・プレオープンなのにスタッフ数は通常よりも少ない。PoCじゃないの??
・突然逃げ出すスタッフ(脱出ポッドってそんなに便利なものなの??)
・マニュアルはネット公開のものを見ていたからわかるとのこと(なんじゃそりゃ)
・勝手に単独船外活動し、0.5気圧に一気に下げる(なんじゃそりゃ)
・迷惑メールを恐れてローマ字でメール、宇宙服は一着だけ
・宇宙でラーメン登場(低重力とは言え、汁物用意する?? 作劇上の必然もナシ)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説:その他
感想投稿日 : 2023年12月1日
読了日 : 2023年11月30日
本棚登録日 : 2023年12月1日

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