ただいま神様当番 (宝島社文庫)

著者 :
  • 宝島社 (2022年5月10日発売)
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感想 : 461
5

青山美智子さんの5冊目だが、これも★5つだ。

脇役で何度か登場する"喜多川葵"と"花屋のお姉さん"がサッパリしていて好きだ。
あと、男子高校生の話に出てきた女子高校生の"アザミ"も純真無垢で良い。

人は誰でも毎日の生活環境にうまく溶け込んで、自分の居場所を作り維持するため、少しだけ見栄を張ったり我慢したりしている。
人それぞれに異なる事情があるので、自分だけに都合がいいように物事は進まない。

周囲があきれているのに気づかずに、自分の考えを正当化して言動を続けると、しっぺ返しを食らうことがある。
思い通りにいかない時、自分がダメだなあって反省できるのはいいことだ。

本当はこうしたいと思っても、これまでの自分の行動は簡単には変えられないものだ。
変わるためには、きっかけと覚悟が必要。
そして、一歩踏み出し今までと違う自分をさらけ出した時に、受け入れてくれる人が身近にいてくれることが必要。

青山美智子さんの作品には、こういう人が自分の近くにいてくれたら、という人物が登場して背中を押してくれたり共感してくれる。
この物語で、背中を押してくれるのは"神様"だ。

実際はこういう(神様のような)人が身近になかなかいないから、よそ行きの自分を演じ続けて苦しくなることがよくある。
自分も他人をそれほど見ていないように、他人も自分のことを親身に見ていないということなんだろう。

素の自分を他人もそこそこ認めてくれて、自分も他人のいいところを理解して、お互いに成長しながら自然体で暮らしていきたいものだ。

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表紙の写真にも惹かれるが、これは田中達也さんというミニチュア写真家に頼んでいたことを知った。
田中達也さんの作品はSNSで見れるのでインスタグラムで観賞した。
こちらもなかなか良いネ!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: *青山美智子
感想投稿日 : 2022年10月22日
読了日 : 2022年10月22日
本棚登録日 : 2022年9月17日

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