「ねこのさら」「しにがみさん」「しばはま」と、野村たかあきさんの落語絵本を読んできたが、これが一番新しいのかな。
一段と迫力が増した版画で、人物の表情も豊か。面白さがダイレクトに伝わってくる。
表紙絵は浅草の雷門前。今回の噺の舞台はここだ。
見返しの版画も見事で、ここも見どころ。
「そこつ」についての解説がある「枕」の部分から始まる。
行き倒れの男がいるとかで、朝の仁王門は大騒ぎ。
それを見たそこつ者のはっつぁん。
「やー!これは熊のやろうだ」と言って「当人を連れてきて確認させる」と大慌て。
ところが、やってきた当人もまたそれを上回るそこつ者で・・
この「熊さん」が行き倒れの死体を確認する場面が笑いのツボ。
そんな、バカな。そこつも、ここまで行くと天賦の才能だ。
でもふたりとも悪気もないしふざけているわけでもないし、大真面目だから始末に悪い。
さてさて、オチはどうなる?
低学年から中学年向きとあるが、ナンセンス落語は案外ハードルが高いもの。のっけから行き倒れの死体が現れるあたりも、ブラックな要素じゅうぶん。
むしろ高学年以上がよろしいかと。
約12分。テキパキとした江戸弁でどうぞ。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
落語絵本
- 感想投稿日 : 2019年6月30日
- 読了日 : 2019年6月25日
- 本棚登録日 : 2019年6月30日
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