構造構成主義とは何か: 次世代人間科学の原理

著者 :
  • 北大路書房 (2005年4月1日発売)
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感想 : 10
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構造構成主義のいわんとしていることは何となく分かるのですが、じゃあ具体的にどうすればこの理路がうまくゆくのか、イマイチ分かりませんでした。
僕は基本的にはファイヤアーベントの「何でもアリ」(人によって色んな考え方があっていいじゃないか!)という主張に賛成なのですが、議論を一つにするための合意形成(会議等)には、著者の言うように『何でもアリの相対主義では統一できない』という欠点があります。
で、対立が起きた場合に、お互いの主張の前提条件を開示して、もう一度練り直そうというのは納得します。これはまだ分かりやすいです。
現象を第一に置いて考える、というのも分かります。
その意義は分かるけど、それがどのように使えば良いか、それがよく分かりません。例えば、医療現場では、理論家と現場の対立はよくある事で云々と言いますが、お互いの前提条件をクリアにして再議論したところで、視界が一気に開けるような大きな変化はないと思います。現状より少しでも前進できれば良い、と著者は言いますが、なんか『構造構成主義(の理路や考え方)によって劇的に変わってくるぜ!スゲーだろ!』という全能感が本書から伝わってくるので、そのギャップが大きいです。勿論僕の読解力が低いからそう思うだけであって、分かる人には分かるんでしょう。僕には構造構成主義の有用性・効果・偉大さが少ししか理解できなかったというだけです。
著者の新作が最近出たので(しかも新書本!)、そちらに期待します。僕の評価はAにします。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2015年6月3日
読了日 : 2015年6月3日
本棚登録日 : 2015年6月3日

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