ハートに火をつけないで (創元推理文庫)

  • 東京創元社 (2021年9月30日発売)
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感想 : 29
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「ワニ町」シリーズ既刊を一気読み。第二作三作あたりでは、いくらなんでも事件が起こりすぎ慌ただしすぎと思わないでもなかったけど、この第四作は文句なく面白かった。非情な工作員(要するに殺し屋)だったフォーチュンが、南部の田舎町シンフルで、それまでの彼女の人生にはなかったものに出会い、とまどいながら変わっていく様子がすごくキュート。

まあとにかく「お約束」のてんこ盛りで、呆れながらもやっぱり笑える。フォーチュンとお祖母さん二人は必ず不法住居侵入し、必ず失敗して危機一髪で逃げ出し、保安官補カーターに怒られ、突飛な言い訳をする。フォーチュンはしばしば裸に近い格好になってしまい、それをカーターに見られる。アイダ・ベルは颯爽と走り車やバイクをとばし、一方のガーティはいつもヨロヨロ、でもやるときはやる。これ、テレビシリーズかなんかになってないんだろうか。読みながらずっと映像が浮かんできて楽しい。

今回は、フォーチュンとカーターの仲がちょっと進展し、おお!どうなるの?というドキドキのおまけ付き。カーターの好意を感じながら、そして自分の気持ちにも気づきながら、立場と状況から個人的な関係を作るまいとするフォーチュン。顔を赤くしてる様子なんかまるで中学生のようでかわいい。でもカーターの魅力に参って、「キッチンの床に倒してわたしの好きにしてしまおうと思った」りするんだよね。

本国ではなんとすでに二十作目が出たそうだ。えー、舞台はずっとシンフルなのか、この小さな町でまだまだ殺人事件が起こるのか、フォーチュンの身元はばれないのか、カーターとの関係は?などなど気になること多し。続きが読みたいです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 海外ミステリ
感想投稿日 : 2022年1月31日
読了日 : 2022年1月31日
本棚登録日 : 2022年1月31日

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