赤ちゃんと僕 1 (花とゆめCOMICS)

著者 :
  • 白泉社 (1992年1月1日発売)
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感想 : 98

11巻まで読了。

ちょうど姉と弟が9歳差で拓也と実と同じくらいの年の差があり、「ミルクをあげたりおむつを替えたり手伝いができるから助かった」と母から聞いたことがあるので、小学5年生が1〜2歳の世話をできることに違和感はなかった。

3巻で拓也があっさり6年生に進級したので「10巻以上出てるのにこんなに早く年取って大丈夫!?」と思ったが、途中から小6を維持していく方針になったらしい。
1巻ではまともに話せず抱っこの多かった実の、話が進むにつれて言葉の意味を理解して自分の意思を話したり、歩いたり走ったり、買い物の荷物を持てるようになったりなどの成長が楽しめたが、途中から止まってしまうのはなんとも歯痒い。
妹の世話から逃れたかったゴンちゃんが拓也と一緒に保育園へお迎えに行くことが増えたのが、ほっこりした。ゴンちゃんは少女漫画的には顔がアレだけど、いい子の拓也には絶対言えないようなことを言ってくれたりするので親友枠としては最高だと思う。

開始時点で拓也はママを失っていることだし、「小学生が主人公の子育てもの」ということもあって、ほのぼのした内容かと思っていた。もちろんほのぼのもあるが、仲良くなった人や動物が死んだり、幽霊に因縁をつけられたり、誘拐されて発砲されたり、借金取り騒動に首を突っ込んだり、想像以上にハードな話もあった。本当に少女漫画?

連載が長期化するにつれて読者から「脇役と僕」と揶揄されるくらい脇役メインの話が増えて「拓也と実の話」が減ってくる。確かに拓也が「主人公」じゃなくて「登場人物の一人」になっていると感じた。
藤井君が人気なのは、「兄姉にこき使われる」「弟妹の面倒を見なければならない」のどちらの性質も持つ中間子で共感する層が多いからではないかと思った。拓也じゃいい子&ハイスペックすぎて共感は厳しそう。

6巻の柱スペースに読者からの質問への回答が載っているが、質問というよりイチャモンで気分が悪かった。その柱スペースが載っているのが拓也と実が陰湿な嫌がらせを受けている最中だったこともあり、ことさら嫌な気分になった。
そのイチャモンの一部が「老人ホーム行き=かわいそうと決めつけるなby老人ホーム勤務」「保母さんが一方を悪と決めつけて怒るのはありえないby幼稚園の先生」という本職からの意見だったのが、なんだかなあ。本職ほど漫画と現実の区別がつけられないのか。

10巻収録の第56話は扱いが難しいところだと思う。思春期の体の変化がテーマで、それをからかう描写がなかったところは良かったけど、説明が一切ないのはどうだろう。これでは知識のない読者は宙ぶらりん。
拓也がパパから教えてもらったのか不明のまま終わるのも引っかかる。拓也はピュアなままというのはずるいような。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年8月10日
読了日 : 2022年8月8日
本棚登録日 : 2022年8月8日

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