今巻は恋愛ADVやSLGではなく、属性魔法を使ってモンスターと戦うRPGのような《学園ダンジョン探索編》でまとまっている。異世界転生もので男性向けに多いRPG(バトルやダンジョン攻略)と女性向けに多い乙女ゲーム(恋愛など人間関係)を一作で味わえるのがすごい。世界観設定がかなりしっかりしていると改めて感じた。
憲三郎にとって学園ダンジョンは未知の領域だが、「あらゆるゲームでダンジョン攻略をしてきた経験」と「グレイスのビーストを操作できる憲三郎の娘のフォロー」で、派手ではないけれど安心感の強いチート。今回無双したのは回復アイテムとして登場した現代の食べ物かと思わせて、ピンチに陥ったところで憲三郎がゲーマーとしての本気を見せてダンジョンを攻略していくという主人公の見せ場もしっかりある。
生徒会メンバーも少しずつ合流したのち分断、王子達と入れ替わることでそれぞれに出番があり、攻略対象としての出番の公平さも感じた。
憲三郎がグレイスになり変わっている謎に触れるような要素も盛り込まれていて、先の楽しみも膨らむ。
悪役令嬢の《中の人》がいい人だと回が進むごとに悪役令嬢であることが形骸化すると思うが、この作品は主人公に《自分が悪役令嬢である自覚》と《役割を全うしようとする真面目さ》があるので、周囲の好感度が上がっても悪役令嬢であることを保っていられるのかなという印象。(ダンジョン攻略組み分けの話し合いでグレイスがハブられたシーンで、「悪役令嬢だから仲間外れにされた」と納得する憲三郎と、絶対にグレイスと組みたいアンナたちのズレが笑いを生み出している)
3DCGを使用したダンジョン背景やモンスターと、人物や3DCGじゃない背景との作画の差が露骨すぎて気になる。デジタル作画黎明期に感じたような違和感、再び。
- 感想投稿日 : 2023年6月5日
- 読了日 : 2023年6月5日
- 本棚登録日 : 2023年4月16日
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